やまなしの国保 7月号
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熱剤を使うことが適切なのか、それとも救える命の最後のチャンスだったと、後から言われるようなことにならないのか。ホーム開設時は『38度以上は救急車を考慮』と言われているのだから。夜勤の介護士から相談を受けた当番の看護師も悩む。 頼りになるはずのホームの委嘱医は、昼間の正業に差し支えるからと、深夜の電話に出てくれないかもしれない。第一、熱を出した入所者のことなど何も知らないだろう。救急車を呼ぼうと決心する。 病院等の医療機関への緊急の受診・救急搬送・入院と言ってしまっては簡単だが、平均寿命を超えた90歳前後の高齢の障碍者に発生するそのような事態は容易に死と結びつき、小康を得たとしても、治療前にくらべ、著しい日常生活動作の低下を招く。認知症の患者は、治療のための抑制も必発になるだろう。 「今まで暮らしていたホームに帰りたい」と、言いながら果たせなかった入院中の前入所者を何人も知っている。そうなった発端は、あの救急車であり、病院受診だった。入院だった。 法令に従っているというが、80床の特養ホームに常勤医はどうしていないのだろうか。ームでの看取り-2 非常勤の医師に夜間の見ず知らずの高齢者の緊急の相談は確かに“酷”というものだろう。しかしそれでもと、「入所者の急変に何時でも対応してください」と、改めて医師にお願いした後の救急搬送、入院、死亡場所、死因の変化につき調べたのが村松さんの発表だった。(表-1) 3年前の開設以来、実際に職員も不慣れだったことも確かだった。入所者の生活歴・家族歴・病歴をしっかり勉強し、個別の介護に生かすことができるよう頑張ったというが、24時間・365日対応してくれる医師を得たことは大きかった。 (表-2)全死亡の70%が特養内で、老衰で亡くなった。救急搬送は1/3に入院数は1/2に減少した。平成30年の今年はまだ救急搬送は一人も依頼していない。 村松さんに『特別養護老人ホームでの看取り』に大切なことはと伺うと、①特養ホームを理解してくれる医師を見つけること。②褥瘡発生を絶対起こさない介護をすること③抑制は論外。④最期まで経口摂取を。⑤多職種で頑張るの5点を挙げてくださった。表 -1表 -2051015202530354045505560平成27年平成28年平成29年特養看取り年間死亡者救急搬送入院回数特養内での死亡数・死因・死亡までの期間特養内での死亡 … 22人/32人 69% 看取り体制開始より死亡までの期間 → 1日から315日 平均:42日 → 再び経口摂取が可能になる方も多かった 死  因●特養内… 老 衰 17人(85%) 心不全 2人 肺炎、尿路感染症、大腸癌 1人●病 院… 心不全 3人 肺 炎 3人 腎不全、吐血、くも膜下出血、大腸癌 1人26

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