やまなしの国保 4月号
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⑨ 帰属認定は相手にさせる 次に帰属認定です。捜索先で何か動産を差押えようとして、滞納者に「これは女房のものだ」「子供のものだ」などとごねられることはしょっちゅうです。向こうは持って行かれたくないと必死ですから、あれこれ理屈を並べて「自分の物ではない」と主張します。 そういう時は「あなたの家にあったのだから、あなたのものだ」と言って帰属認定をします。その上で「これが本当に奥さんの物だとしても我々には証明できません。奥さんのものだと証明してくれたら、すぐお返しします」といえばよいのです。 「持っていかなくてもいいだろう」と粘られても躊躇は禁物です。「動産は『動く』と書きますから」と言うか「隠ぺいの恐れがありますから」と伝えてください。 私の経験では1度だけ帰属認定が崩れたことがありました。都内のある会社事務所を捜索した時のことです。その滞納者は単身で、調査の過程では女性は出てきませんでした。なのに部屋の中からものすごい宝石類が見つかったのです。 社長に奥さんがいるのかなどいろいろと質問したところ、「彼女のものだ」の一点張りでしたが住民票上も戸籍上も女性はいないので差押えることにしました。 「彼女の宝石だ!」と言っていましたが、「だったら証明してください。」と突っぱねて持って帰りました。 翌日、「彼女」がやってきました。宝石を購入した時の領収書を見事にそろえていて、「返してください」ときっぱり言われました。なかなかの女傑だなあと感心して宝石は返しました。これでまったく問題ありません。 捜索で差押える動産は、通常、なくても暮らしていける物です。生活に支障のない物を差押えられても滞納者から苦情が来ることはまずありません。たいていはあきらめます。⑩ 大きい動産の差押え ピアノや自動車など捜索当日に引き上げができないものについては差押調書に保管を命ずると書き保管させます。その際使用を許可することもできます。差押えには封印をします。封印できないものは公示書をビニールの袋に入れ差押物にぶら下げます。 このようなものは早く引き上げると保管場所等の問題が出てきますので、公売の下見会まで保管をさせておくとよいでしょう。ただし隠ぺいの恐れがある場合はできるだけ早く引き上げることが必要です。⑪ 差押調書または捜索調書の作成 これで捜索は終了しますが、差押える物があれば差押調書を書きます。差押えるべき財産がなかった場合は捜索調書を書きます。 差押財産の欄の記入は差押えたものを特定できれば足りるのであまり詳しくは書く必要はありません。以下例を挙げておきます。*ワイドテレビ 50インチ 1台(ソニー製50KLD型)*ピアノ 1台(ヤマハ88鍵G3E型)*絵画 1点 梅原龍三郎「富士」(縦50㎝×横60㎝×奥行10㎝) 差押調書を作成し滞納者に差押物を確認させたうえで、署名捺印してもらい調書を渡せば捜索は終了です。 署名や受領を拒否する場合は、差押調書に「受領拒否。○時○分差置き送達」と記入し、滞納者宅の玄関に差置けば送達完了です。その際写真を撮っておきましょう。 すべて終了したら「これで捜索を終了します」と言って帰ってくることになります。この時、滞納者から話があるといっても応じないことが肝要です。「今後の話は役所に来てください」といってください。納税交渉に来たのではないのです。5. 捜索したからわかること 捜索する相手は千差万別で同じ人はいません。しかし、基本は同じなので毅然とした態度で臨むことが肝要です。このままでは国保は崩壊するVol.12̶ 捜索の手法 ̶国保制度を崩壊させないために▲ 軽自動車差押使用許可▲ テレビの差押使用許可6

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