やまなしの国保 4月号
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 まだ冷蔵庫などない時代、食料の長期保存は人間にとって命に関わる重大な問題で、様々な失敗と成功を繰り返して人間は保存方法を見つけ出してきました。乾燥、薫製、塩漬け、砂糖漬け、酢漬け、発酵など、どの方法にも食べ物の腐敗を抑える効果がありますが、中でも発酵食品は食材を微生物の働きで発酵させることで長持ちさせ、さらに旨味や栄養価をアップさせる素晴らしい保存方法です。 気候風土に深い関係があり、乾燥した気候のヨーロッパではワインなどの酵母を使った発酵が盛んになりました。湿気が多い日本をはじめとしたアジアではカビを使った発酵が盛んになり、それぞれ特色のある発酵食品が誕生しています。 発酵食品が作られるために欠かせない“発酵”という現象ですが、これは1ミリの1/100~1/1000ほどの微生物の働きによるもの。人間の身体にとって良い働きをする善玉菌とも呼ばれている微生物が、デンプンやタンパク質を分解してアミノ酸や糖分に変化させているのです。それに対して悪い働きをする悪玉菌と呼ばれている微生物が、食べ物を腐らせ病気を引き起こしたりするのが“腐敗”と言われます。どちらも同じ仕組みで二つに違いはなく、人間の都合で微生物の働きを呼び分けているだけです。 この微生物には様々な種類があり、土や水、1万メートルを越える深い海の底、南極の氷の下、100度を超す温泉、さらに動物や人間の体内や皮膚など、ありとあらゆるところにいて、未だに発見されていないものもたくさんあるといわれています。栄養、温度、湿度など最適な環境が得られれば、もの凄いスピードで繁殖する生命力の持ち主なのです。 人類最初の発酵食品は酒。集めた果物が自然発酵してできたのが最初だと考えられています。その歴史は人類と共にあるといえるほどで、八千年前にはワイン作りがメソポタミアで始まったと推定されています。 日本の代表的な発酵食品は日本酒、焼酎、みりん、醤油、味噌、さらには納豆、漬け物、塩辛、など様々。 中でも味噌の始まりは、古代中国で作られていた醤という調味料が奈良時代頃に日本に伝わって独自の進化をしたという説や、縄文~弥生時代に作られた塩漬けの食品日本人の食と健康を支えてきた発酵食、味噌。発酵食の歴史味噌の歴史と発酵食の歴史やまなしのユネスコの無形文化遺産に登録され、世界中から関心が高まる「和食」。その中でも山梨の食文化は、豊かな自然に寄り添いながら生きてきた技と知恵の宝庫です。食山梨にまつわる美味しいお話文 化微生物が働く発酵と腐敗24

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